レオン

生きる LIVINGのレオンのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.7
見逃し高評価作品。 (★平均3.9 UNEXTポイント課金)
私が敬愛する黒沢明作品のリメイクで、公開時から気になっていたが見逃す。 まずアカデミー男優賞にノミネートされた ビル・ナイだが、私的には全く平凡! 笑った時に優しさを感じたぐらいで、心の奥底が見えるようなシーンはほとんどなかった・・。 

全体的にもオリジナルは"143分"なのに対して、"102分" とかなりあっさり感じて、元作ほど強烈な演出を感じない。 恐らく、プロデューサーは元作風では、一般ウケしにくいから、イギリスらしくジェントル感を増し、物語をややスマートに見せたいという思惑があったと感じる。

「元作」は見る者の年齢に比例して評価が上がるほど、奥の深さを感じる傑作のひとつ。 私も10代で見た時は、同時期に見た黒澤作品4~5本の中で一番!と来なかった。 が、30代、50代と年齢を重ねる毎に随所にその、凝った演出が分かるようになった。
特に志村喬の、目を見開いていいるのに、空虚でどこを見ているか分からぬ演技は特筆物。

対してビル・ナイは、あのお歳にしては美形で表情があまり変化しないタイプの役者さんで、台詞はシーンで違えど、あまり印象が変わらない。 悪く言えば、出演本数はそこそこあるが、私も一度も名前を覚えてない事が示す通り、演技でも際だった物がなかったと思う。 

目が潤むシーンも、新人女性社員と喪主になった息子のシーンや、出来た遊び場を見ながら、警官とアレックス・シャープが語るシーン等、主役以外のシーンの方が見入る。

まあ今作はさすが海外作品と思わせる点は、その時代を作っている感なく表現している点。 このあたりは制作費がわずかな邦画と大きく違う点。 
元作とどうしても比較してしまうので、あの点この点は劣るな・・と感じてしまうが、今作で初めて物語を見る方には★4ぐらいには感じて当然と思う。

黒澤明の「生きる」1952年作(UNEXT見放題)も、機会あれば是非ご鑑賞を♪
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