人生は変えられなくても、生き方は変えられる。
ビル・ナイがいい。
紳士のあるべき姿を体現している。
凛として、寡黙で、思慮深い。
仏頂面だけど、優しさが隠れてる。
同僚たちのと距離感に、まだ階級社の名残のある時代の英国社会が見てとれる。
仕事一筋で生きてきた、ビル・ナイ演じるウィリアムズが死期を宣告され、人生を見つめ直す物語を、若いピーターの目線で描いている。
夕暮れ時、路地裏などで遊ぶ子供たち。
母親が呼びに来て、名残惜しそうに家へと帰る。何もしないでいて、ただただ迎えを待ちたくない。
人生もそうだと語る。
悔いなく生きると言うのは、特別なことをしなくてもいい。今、目の前にあることをやりきり、満足することで十分なんだと感じた。
他人の評価は関係ない。
全体的に静かで穏やかな映画だった。
抑制の効いた研ぎ澄まされ脚本は、作家カズオ・イシグロだからか。
ブランコに揺られる、ビル・ナイの幸せそうな表情がいつまでも脳裏に残る。