男はくらいよ監督さそり

生きる LIVINGの男はくらいよ監督さそりのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
黒澤明監督のリメイク映画(スターウォーズも)ではこれがベストだと思う。オリジナルを父と一緒に地上波で見て、白血病で闘病して亡くなった父を主人公に投影させて見て新たな感動。父はビルナイみたいな静かな人だったので
黒澤版がゴッホの絵の様に力強い生きるなら、これはモネの絵の様に淡い。
日本からイギリスに完璧に書き換え、尚且つ原作と同じ時代というアイデア!
志村喬のギラギラした演技に比べるとビルナイの容姿と演技は黒澤の映画で言えば宮口精二の様な繊細さ。
演出も小津安二郎の様に淡々としていてイギリス映画らしい紳士の佇まい。
原作に忠実に同僚の娘が美人でないのが良く、ウサギのぬいぐるみも上手くオマージュしている。原作では葬式に来なかった娘も今回は出席。渾名もミーラからゾンビへ!
そしてゴンドラの唄をナナカマドの木にアレンジ!これが良かった。ゴンドラの唄だと逆に不自然でしらけた。色々と黒澤版をリスペクトしつつイギリス人の勤勉さを描いている。
原作でちょっとしつこいくらいの葬式での回想をアッサリ描いてるのも好感持てる。
惜しいのは左卜全みたいな強烈なキャラがいなかった事かな?