日本で超有名なクロサワの「生きる」をカズオイシグロが英国の優雅な香りを纏ってリメイク。
仕事を人と紙で成り立たせていたあの時代ならではの物語。デジタルが入り込んだら、せわしなくて「生きる」は「生きる」にならないね。
俳優たちの立ち居振舞いが英国らしく上品で、劇伴や効果音などもよい雰囲気を作り出していた。
冒頭で優雅な香り、と書きはしたが人間の中身なんてそうそう変わらない。古典が現代のエンタメにも通じる普遍を持っているように、喜怒哀楽の根元は一緒だ。
死を目前にした時、何を思いどんなことをするのか。人それぞれであり、ウィリアムはこれまでの死を迎えてきた沢山の人々の中のほんの一例である。
その、ほんの一例があとに続く人々の行動になにがしか多少でも影響するのであれば、それは大いに意味のある一生だったと言えるだろう。
人というのはこうして連綿と続いてる。
ビル・ナイは堅物の主人公を好演。
デイビー・ジョーンズをちょっとだけ思い出しちゃった。デイビー・ジョーンズもあんななりして切ない表情してたからねー。うまい俳優さんだ。ブランコのシーンはグッときました。