ゆりな

生きる LIVINGのゆりなのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.7
生きることや仕事に疲れたら、何度だって観たい名作。

映画館を出ながら考えたのは「この感動をどうやったらずっと閉じ込めておけるかな」だった。うわ〜〜〜ありがとう町山智浩!!
用事が早く終わり、寝ちゃうかな……なんて迷いながら好評なのを信じて観に行ったら大当たり。2023年No.1です。

やっぱり映画の有難いところは「人生のヒント」をくれるところ。それも狙ったかのようにではなく、ふとしたときに。

カズオ・イシグロの脚本も目当てのひとつだったのだけど、この後観た黒澤版と流れも話もほぼ同一でイギリス版に置き換えられてるだけかな。
最初のポイントとなる小説家とダイナーで出会って遊びへ繰り出すシーンはこちらの方がいい!

画面割、旧版だったのね。フィルムのようなわざと古めかしい色合いをした映像が沁みる。ここの時代の人たちには、もちろんスマホなぞないのだ。
家で再鑑賞して思ったのは、イギリスらしい流れるピアノや音楽が美しい。

若い子を見ると「なんでもできていいな!」と言ったり思ってしまうけど、先に生きている大人から見たら、わたしもまだの立ち位置。
飲み屋に行っても「32!?若いね〜!」と若くないのにそう言ってもらえるし、そう言ってくれる大人たちは見た目も心も本当に若い。(1人で飲みに来てるコミュ力だからもあるかもしれない)

この映画観ると、人生やり直したり、人間変わるのに年齢なんて関係ないと思うし、普段なかなか人にそうは言えなくても、断言したくなる。

本作を観た当時(去年の4月)、わたしは普段いかに目先のことしか頭になく、日々を生きるので精一杯で、主人公のように「先や未来を見越した生き方ができないのだろう」と気付かされたものだった。

今もその日々は変わらず、去年の春から飛躍できているのか?と言われれば渋いが、去年は夏から人生で一番辛い年を過ごしたり、たくさん泣いた日々であったこと、未来に向かって考えなきゃいけない重要性。
大事なことと「死」を目前にした主人公から残りの人生の時間の大切さから学べた気がする。
タイトルは「生きる」だけど「死」の映画でもあるんだよね。

そんな訳で遅れながら2023年ベストムービーだったのですが見事に「生きる」と「首」は死、
「PERFECT DAYS」は生きる、「アステロイド・シティ」は遺された人の映画だったな(というまとめ)
ゆりな

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