ラジオ子ちゃん

DEATH DAYSのラジオ子ちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

DEATH DAYS(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


『デスディに別れるカップルって多いらしいよ。
ナーバスになっちゃうよね。

心がまるでね、子供の歯なのよ。
グラグラしてて、不安定なのよ。』

あらかじめ死ぬ日が決められている世界。
ただし、何歳で死ぬかはわからない。
だからその日は慎重に、大事に生きる。
誰かと過ごしたりする。
一方で、やっぱりナーバスになる日。

クリスマス付近で別れるカップルが多いとは聞くが、
世間的に大事な日!とされている日は私も苦手だ。
特に誕生日がそう。
祝福される、幸せな日であるべき、という刷り込みに苦しめられているんだろうか。
クリスマスや正月などの、ホリデーシーズン、
あと最近は母の日なんかに苦しめられる人たちがいるらしい。
インターネットでハッピーが強調される反動もあると思う。

前から結婚式に対しても懐疑的だった。
規模に差はあれど、いろんな人が集まる日が、
必ずしも幸せな日になるなんて保証はない。
と、なんでか希望のない方に振り切って考えてしまう。
あんまり幸せじゃない、成功じゃない結婚式だってあるはずなのに、
その話が入ってこないことが逆に怪しすぎると思っていた。
そしたら作家の山﨑ナオコーラさんがそのような作品をとっくの昔に書いてくれていて救われた。

話は戻って。
この作品の結婚式はなんだか良さげだった。
ナーバスになっちゃう新郎と、
たとえ死ぬ日だったとしても、今日でよかったと思える新婦。
それでいいのだ。
デスデイがない世界では、
死にたい人にとっては、365日がその気になれば死ねるかも、というある意味の希望を持って"生きられる"。
デスデイがある世界では、デスデイ以外では死なない(死ねない)し、デスデイに試みても、それがいつになるかもわからない。
死なせないことは、ある意味では絶望である。

メンタルヘルスを保つことは、
グラグラ子供の歯の日々もある、と受け入れられることなのかもしれない。
そこまでの領域に到達するのはなかなか難しいから、
死んでない、やったね。を思い出していきたい。