イチロヲ

団鬼六 少女木馬責めのイチロヲのレビュー・感想・評価

団鬼六 少女木馬責め(1982年製作の映画)
5.0
密かに心を通わせている女子高生(西川瀬里奈)と男性教諭(下元史朗)が、肉体的接触を得られないままで、各々の変態妄想を膨らませていく。団鬼六原案&石井隆脚本という、ビザールな化学合成が実現している、日活ロマンポルノ。

シナリオは石井隆のスタイルに則したもの。主人公の名前が名美と村木であり、「波長が合うはずの男女がすれ違ってしまうドラマ」と「運命の女と出会ったことにより破綻を来してしまう男の末路」が淀みなく語られている。

何度もカットインされる妄想劇場が白眉となっており、「性行動と喜劇の表裏性」が機能している。娘の自慰に参加してくる母親(小川亜佐美)、精力剤を売り込むオカマのセールスマン(草薙良一)など、助演のキャラが立っているところも嬉しい。

終局のSMプレイでは「主人もまた隷属者に隷属している」の法則を提起。さらには「自分自身にとっての幸せな生き方とは何か?」という、自己実現の模索へと繋げていく。本作は、全人類に通じる幸福論のドラマと言っても過言ではないだろう。
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