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エンパイア・オブ・ライトのQIのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.2
“暗闇の中に光を見いだす”

監督 サム・メンデス
撮影 ロジャー・ディーキンス
編集 リー・スミス
制作 サーチライト・ピクチャーズ

良くない作品になる要素ゼロw

舞台は“海辺の映画館”エンパイア劇場

オリビア・コールマン演じるヒラリーは長年この劇場に務めるベテランスタッフ

マイケル・ウォード演じる黒人青年スティーブは進学の夢に破れてこの劇場で働くことに

この二人を中心に物語は進んでいきますが…

本当の主役はエンパイア劇場

かつては多くのスクリーンで多くの観客に暗闇の中で夢と希望という光を観せてきたこの劇場もスクリーンの数を減らしなんとか営業を続けている状況

それはかつて栄華を極めた大英帝国(エンパイア)そのもの

さらに自分の身近なことでも、これまでの大手シネコンやサブスク、最近のパンデミックの影響で消えていった多くの単館劇場のイメージとも重なります。

そんなエンパイア劇場ですが、そのロケーションと佇まいがとてつもなく素晴らしい!

その美しさとある意味悲しさを余すことなくフィルムにおさめたロジャー・デイーキンス

特に彼が得意とする闇の中に照らされる光の美しさも思う存分堪能できました。

もちろんオリビア・コールマンの演技もとても素晴らしかったですが、自分のお気に入りは映写技師を演じたトビー・ジョーンズ

それ以外の映画館スタッフも皆愛すべきキャラ

ただ一人、映画館の支配人を演じたコリン・ファースだけは抜群の存在感にもかかわらず、どうにもいただけない役どころだったのが残念😥

当時のサッチャー政権下の不況とそれによる排他主義の犠牲者とも言えるスティーブも、心に暗闇をかかえるヒラリーの中に光を見出し再生への道を歩む

ヒラリーも苦しみ悩むスティーブの中に、そしていままで常に目の前にあった劇場の暗闇に希望という光があることに気づく

自分がなぜここまで映画館で映画を観ることにこだわり足繁く映画館に通うのか?

その一つの答えがこの作品にはありました。

すべての映画館とそのスタッフへの敬意と感謝を込めて!

p.s.
サントラもとてもヨカッタ♪
ザ・スペシャルズやボブ・ディラン等々、当時の世相を反映したグループや曲が満載
購入決定😉
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