繊細で、美しく、温かな光。
映画館の暗闇の中。
映写室から眩い光が照射されることにより、1秒間に24コマの写真が連続して、スクリーンに映し出される。
そのコマとコマの間には、人間の視神経では認知のできない闇がある。
確かに「ある」のだけれど、認知のできない闇。
つらい現実、いたたまれない状況、差別的な社会を生きてゆく中では、認知せずにはいられない痛みがある。
その痛みをまったく脳が、心が認知せずに生きてゆけたなら、どれほど楽だろう。
中には痛みの全てを認知し、傷ついてしまう者もいる。
他人の痛みに驚くほど無関心な者もいる。
いじめ、ハラスメント、差別、戦争、全て、痛みへの想像力の欠如が根本的な原因だと思う。
闇の数も、痛みの感じ方も、その限界も、人それぞれだ。
ただ、大切な誰かの闇や痛みを想像し、寄り添うことは、きっとできる。
木洩れ陽のような温かさが沁みて、ラストシーンでは目頭が熱くなりました。
あの人は、私の人生を照らした光だった。
そんな出会いは素敵だよなあ。
海辺の映画館、撮影、劇伴、選曲、引用の詩が、とっても好みだった。
なんとなく、「バビロン」のデイミアン・チャゼルの感想が知りたいです。