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エンパイア・オブ・ライトのsymaxのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.6
"諦めちゃダメ…自分の人生は自分で掴むの…"

海辺に建つ映画館"エンパイア劇場"…ここで働くヒラリーの顔には何処か物憂げな影が浮かぶ…

時は80年代初頭、サッチャー政権下での厳しい不況の中、世の中が不穏な空気を醸し出していた頃…

夢破れエンパイア劇場で働く事となった黒人青年スティーヴンに惹かれていくヒラリーは生きる希望を見出すようになったのだが…

サム・メンデス監督の個人的な思い入れが強く前面に出ている作品のようで…

本作の象徴である映画館"エンパイア劇場"…そこは行き場のない人々の癒やしの場所…映画館が主役と言っても良いくらいに美しい…

ヒラリーが抱える病気やその年齢・人種の差もあって、スティーヴンとの関係は何処か不安定で切ないのです。

シビアな展開が続く中、ヒラリーを支えて行くのは友人達であり、音楽、そして…映画…

ヒラリーを演じたオリヴィア・コールマンの圧巻の演技は一見の価値有りです…まさにオスカー級…

脇役の役者陣の誰もが素晴らしい…特に気難しい映写技師ノーマンを演じたトビー・ジョーンズは印象深いです。
 
人生から逃げたノーマンの"逃げた理由は忘れた…"と語る奥深い演技に痺れました。

エンパイア劇場でやっている作品のチョイスは監督の好みなんでしょうか?どうしてこの作品なんだろうと思いながら観ていました。

ただ監督の思い入れが深いだけに、色々詰め込み過ぎて、やや蛇足感を感じてしまったのが残念…ラストのエピソードをあんなに引っ張らなくても良かったのでは?とちょっと思っちゃいました…
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