ピロシキ

エンパイア・オブ・ライトのピロシキのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.7
監督曰く「主演はオリヴィア・コールマンしかあり得なかった」ようで、彼女を思い浮かべて物語を組み立てたのだそう。女王陛下に引き続き、なおもメンタル病み病みな役を当ててしまうサム・メンデスの底意地の悪さ(?)を感じ取りながらも、それにバッチリと答えてみせる主演女優のパフォーマンスには、もはや流石と言うよりほかない。

予告編で漂う雰囲気からは想像のつかない展開を見せる今作。「思ってたのと違う…!」と早速面食らったのは、冒頭5分でズボンを下ろしたコリン・ファースの後ろ姿が映った瞬間である。その後、主人公が絶対的ヒロインとして2時間出ずっぱりになるわけではなく、その周りの人々にもほんの少しずつ「光」を当てることで、それぞれが抱える「影」が浮かび上がっていく。

光があればもちろんそこには影もあるはずで、光が絶えない限り影も消えることはない。でも自分の影が自分自身を覆い隠してしまそうになるときは、映画という光に静かに逃げ込めばいい。映画はずっと「そこにいる(Being There)」のだから。
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