湯っ子

エンパイア・オブ・ライトの湯っ子のレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.2
他人とは思えない登場人物っているでしょ。私にとってこの映画のヒラリーはそんな女性でした。
ズルズルと不倫してたり、突拍子もない行動に出たり、親子ほど歳の離れた青年に恋したり。私にだって、そんなことがあったかもしれない、何かのタイミングが違えば。そう思いながら観ていた。

ヒラリーの勤める、海のそばの映画館。こうして思い出すほどに、奇跡のような建物という気がする。ヒラリーとスティーブンを結びつけたのも、あの建物のちからだと思う。ピアノのある光さすホール、満天の花火を見上げる屋上。
劇場も素敵だけど、休憩室のシーンがすごく好きだった。ともに働く仲間たちとのひとときがとても愛しい。

ヒラリーとスティーブンの間にあるものを、なんて呼ぶのかな。恋人同士と呼べる日々もあった、だけどそれだけじゃない気がする。
スティーブンはこの先、彼と同じく若い女性と恋をするだろう。ヒラリーもそれを望むんじゃないかな。それでも、ふたりの間にあるものは揺るがないと思う。
湯っ子

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