Mariko

エンパイア・オブ・ライトのMarikoのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.2
イギリス南部の海辺の映画館を舞台にサム・メンデスで、タイトルに “LIGHT” と入ってロジャー・ディーキンスが撮る。っていうだけで、よくないはずがない!という期待通り、を超えてくれた最高の映像。
劇場の外観からエントランス、ロビーそしてスナック売り場!!!どこをとっても胸がキュンとなる素敵な映画館。ロビーから左右に分かれた階段、ゴージャスな劇場内、映画愛がぎっしりの映写室、今は使われていない階上そして屋上。このすべての彩りを光と闇を最大限に活かして見せてくれたのはさすがのロジャー・ディーキンスとしかいいようがない。映画館が舞台というより、映画館が主人公だった。大好き。この映画上映中だけでよいから、フィッシュ&チップス売って欲しい、場内持ち込み禁止で笑。あ、モルティーザーズもね。

キャスト的にはオリヴィア・コールマンの可愛らしさと鬼気迫る様子の振り幅も凄かったけれど、少し屈折した、けれど温かい映写技師のトビー・ジョーンズが素晴らしい。外階段のふたりのシーンがもう名場面すぎて。
あと、眼鏡のニールどっかで観たことあるんだけど誰だっけ...とずっと考えてたら、昨日寝る前に思い出してググったらアタリ、"SHERLOCK"のビル・ウィギンスだった!

それと思ったのは、80年代っていうのは「らしさ」を出すのが難しいんだろうなっていうこと。それは80年代の特性なのか、「今から40年前」という最近ではないけれど昔ではないという現在との隔たりの年数なのか、もちろん私が80年代のイギリスの市井を知らないこともあるだろうけれど、2トーンスカとウォークマンが出てくるまで、年代のイメージがまったくなかった。映画に描かれる「年代」についてもうちょっと気にしてみよう。
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