のんのん

エンパイア・オブ・ライトののんのんのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
5.0
アカデミー賞などの話題の映画を観たいと思いながら観ていなくて、だけれども、これだけは映画館で観ようと思っていた。なんと昨日が最終日。うぅ、仕事帰りのレイトショー。眠くなりそう。

と思ったが、始まりからグッときた。音楽とポップコーンという文字とスクリーンの色合い。夜の海。

わたくしは途中から、何だか知らないがダラダラと泣いていた。嗚咽するわけでもなく、えーんえーんと大泣きするわけでもなく、ダラダラと涙が出て仕方ない。

この映画、遠くから良い音楽が聴こえたりする。映画音楽もカヴァレリアルスカティーナも。

そして、映画館の中も主人公のお部屋も良い。映写室の中のスターのポスターなど、とにかく全てのものを一つ一つ確かめたくなるぐらいだった。とにかく涙が出た。

何故涙が出たか知っている。主人公ヒラリーの病的な表情。統合失調症だからなのかなんなのか、不安定な表情。笑顔でも悲しい。

ヒラリーはいつも不安定だけれども、素敵な色のスカーフをしたり、ちゃんとお洒落するところが、映画全体の雰囲気に合っていた。ワナワナする表情が痛々しい。

その表情に惑わされて、私の心も不安定のまま映画を観てしまうので、揺さぶられた。たまらん。

黒人の若者もハンサムだった。顔もハンサムだが、態度もハンサムだった。こんな素敵な若者がヒラリーと恋愛してくれるの?勝手にヒラリー側の立場になって気後れしてしまう。砂のお城を壊したくなる。

1980年代、不況から来るであろう黒人差別。映画館で働くみんなは普通の人ばかり。優しくて、心の中は知らないが、当然差別もしない。優しいけど強くは無いので助けることもできない。

ヒラリー含め、みんなみんな優しくて弱い。そんな感受性の持ち主だからこそ、あの映画館で働くのが似合っているのねと思いました。経営側は別としてね。

あのメガネの彼もパンクみたいな女の子もみんなとっても優しい。美しくて脆くて、わたしはこの映画あれこれ思い出すだけで涙が出ます。満点をつけたくなってきたなぁ。

モールにあるシネコンで観た。帰りは深夜だった。終わってしまう映画の電光看板(というのか?)の交換作業をしながら、働いているお兄さんが「ありがとうございました」と言ってくれた。シネコンだとしても、やはり映画館っていいなぁと思いました。

コリンファースもいいよいいよ。ふふふふ
のんのん

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