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エンパイア・オブ・ライトのchishiruのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.7
とにかく美術が素晴らしくて、冒頭の映画館を映す映像だけで惹き込まれてしまった、、イギリスの海辺の街が、このうえなくロマンティックに、ノスタルジックに描かれていて、ずっと見ていたくなるような感じでした。
筋書きは後半から、少し生々しく、それこそ見る人の「恥」の感情にも触れるような、そんなシーンも多い。故に苦しさもあるのだけれど、その甘苦さみたいな余韻がまた後を引く。そして、物語の中で深く言及されることはないけれど、ああいうタイプの映画館、そして映写技師といった仕事が、この後失われていくということを現代の我々は承知しているからこそ、よりあの映画館の中に流れる時間が、切なく、そして愛しいものに感じられる。
蛇足だけれども、タイトルは、マグリットの名画と掛けているのかな(一応絵画の方も元ネタはあるらしいけど)。そうだとしたら、あの絵の昼と夜の二面性が、主人公の心のうちを表しているのだろうか。
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