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エンパイア・オブ・ライトのeulogist2001のレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.8
女性蔑視、黒人差別、老い。年齢や人種を超えた恋。他者と繋がる悦びと恐怖。時にイギリスの映画は余白こそ楽しむべきものが多い。刹那的な感情や激情よりは、より深くより遠くを見つめる。
力強くどっしりと覆い被さる。簡単に判断したり、跳ね除けるのが困難な想い。

本作もいろいろなテーマが重層的に重なりながら、複雑な彩りを紡ぎだす。配役、それぞれの役割も単純ではない。

老練な作家の小説を味わった時と同様の余韻があった。

人生とは心のあり方だ。まさに表面に現れるもの、つまり経歴や外見が生きることではない。自らの心が観ているもの、欲しいと切望するもの、深く共感するもの。そうしたものとの出会いと別れ。死と再生。そうした極私的な現象が生きること。そしてそれ以上には到達し得ない。
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