乙

ティルの乙のネタバレレビュー・内容・結末

ティル(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ずっと公開を待ち望んでいたので、公開日の朝イチで観てきました。
私はソウルミュージックが好きで、関連の様々なドキュメンタリーを観てきましたが、何度も耳にするのがエメット・ティルの殺人事件で、当時のアメリカ、特に黒人社会に与えた影響は絶大です。

ボーボが殺されてしまうのは史実として分かっているので、親子の幸せな時間を観ていると心が張り裂けそうになります。

リンチのシーンは覚悟していましたぎ、描かれなかったのでソフトな作品なのかなと思いましたが、そんなことはなかった。
報道写真でも有名な凄惨な遺体のシーンを際立たせるために、それまで暴力描写を抑えていたのだと思う。

事前に葬儀シーン以降は想像していなかったのですが、その後がこの映画の重要部分だった。
「かつては私の問題ではないと思っていた」人種問題に、一人の子の母として立ち向かうメイミーの力強さ。
決してエメット・ティルの殺害について正義が果たされないのもやるせない。

こういった映画を観て、歴史の重みを知るのは大事なことだと思う。
日本にいるとここまで重い問題に出くわす事はなかなかないかもしれないが、人として正しくありたいと思うのでした。

あとは時々、背景が合成かな?と思うシーンがあって、物語から引き戻されたのがもったいなかったです。
乙