はる

ティルのはるのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.5
今まで見たこともないひどい遺体のシーンがあります。でも、その姿を世界に見せるのが母メイミーの覚悟なので、これに目をそむけてはいけないんです。


エメット・ティル、通称ボボ

1955年ミシシッピ州の親戚宅を訪れた際に、白人女性に口笛を吹いたことでリンチを受け殺害されたアフリカ系アメリカ人の少年です。

人種差別が強い土地なのでくれぐれも気をつけるようにと、母のメイミーは何度も言い聞かせます。
そんなメイミーの心配をよそに、14歳のボボは笑顔で列車に乗り込みましたが、、、
その後メイミーが目にしたのは、とても人とは思えない変わり果てたボボの姿でした。

メイミーはその姿を写真に取らせ、世界に見せつけます。
この写真はその後のキング牧師らの公民権運動に拍車をかける事に繋がりました。

映画『アラバマ物語』の原作にもインスピレーションを与えたとか。
「おびえて暮らすようには育てなかった。」というメイミーの言葉が心に残りました。

1882~1968年には4千人以上が白人からリンチを受け、加害者の99%が刑罰を逃れたと言われています。
この国で反リンチ法が成立したのは2022年3月。「エメット・ティル反リンチ法」という名称がつけられています。

メイミーを演じたダニエル・デッドワイラーの慟哭のシーンは、ものすごいメッセージを発していました。
今年の春のアカデミー主演女優賞へのノミネートが有力視されていたようですが、彼女の名前は上がってなかったですね。
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