1955年黒人差別が顕著なアメリカ南部で起きた悲劇。これもまた実話に基づく物語だった。
最愛の息子を理不尽に殺された母（ダニエル・デッドワイラー）が悲しみに蹲ることなく立ち上がる姿が素晴らしくもある分、同じ母親として慟哭が伝わり苦しくなってしまう。
良識ある白人は一人も出てこない。黒人を人とみなしていないから。
白人から黒人へのリンチを厳罰に処する「エメット・ディル・リンチ法」が制定されたのは昨年。ティルの死から67年後とはあまりに遅い歩みではあるが差別への取り組みは確実に進んでいると信じたい。起こる悲劇を自分事として捉えることはなかなかに難しいけれど知らぬふりはできないと強く思う。
