小川勝広

ティルの小川勝広のレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.9
「ミシシッピー・バーニング」「グローリー」等従来の闘う類似作品とは違うアプローチの闘う作品だった。

ボブ・ディランの
「The Death of Emmett Till」の
『ティル』

主人公の闘う理由が、
変わっていく。

加害者に罪を償わせる事から、
国に償わせる、
そしてそれを制度にする、
法律化するまでの闘い。

どんな法律か。

反リンチ法、
リンチはいけませんという法律。

成立したのは、
驚くことに2022年3月、
つい昨年!

『ザ・ユナイテッド・ステイツVS.ビリー・ホリデイ』
の冒頭で法案は破棄された・・・で始まる・・あの法案。


本作は1955年に実際に起きた事件なのに、、、。

主人公の法廷での証言シーン。

カメラを切り返す事なくワンカット。

論より証拠、
特に法廷ではエビデンスが重要。

しかし、

証拠より、論より、母親の体感の説得力!

その体感の説得力を証明する130分が、
かなり短く感じるのは、
シナリオ、演出、芝居の技術が高い証拠、、、体感、、たいかん。

ボーとの思い出カットは無い、
あるのは、
主人公が前を向く為のイメージのみ、
微妙な違いだが、
事件に対する意志の強さの現れでもある。

【蛇足】
昨今の目利きの観客を納得させるには、
2時間では短く、
ドラマで数シーズンにわたって、
飽きさせない工夫で、
なおかつ、
ヒューマニズムもアクションも必要。

そんな中、
ひとつのアイデアとして、

論より証拠を逆転させて、
証拠より論、

客観より主観、

データより勘、

論理より感情、

授業では教えてくれないこと、

社会的な常識とは逆を攻める、

というのが一周回って、
(二周、三周?)トレンドになっている。