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ティルのMALPASOのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.2
映画『ティル』

1950年代アメリカで、アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなった実在の事件「エメット・ティル殺害事件」を劇映画化。

1955年、イリノイ州シカゴ。
夏休み、14歳のエメットはミシシッピ州の親戚のところへ旅に出る。そこで雑貨屋の白人の妻に口笛を吹き、女性を揶揄うような行動をする。結果、彼女の夫をはじめとする白人の集団にリンチされ川で遺体で発見される。
母メイミー・ティルはこの悲惨な事件を知らしめるために行動に出る。
ティルの抗議によって、ミシシッピー州の黒人の人権に対する監視の目が集まり、のちに公民権運動に大きく影響した。

映画を観ている限り、ミシシッピ州に息子を旅に出した事はひじょうに後悔すべき事だったと思う。出かける際も旅の最中もものすごく心配している描写がある。都会のシカゴとは大きく違う黒人に対する偏見。

綺麗な女性に口笛を吹くという行動だけを捉えると、今ではひじょうに女性を馬鹿にした浅はかな行動に思える。この時代はまだまだ男性上位の時代。白人の男性なら普段の行動。暴力は絶対に肯定できないけど、このあたりが後の裁判の結果に影響している。
目をえぐり取っていたり、想像を絶する凄まじいリンチが行われている。ティルが遺体を公開し写真を撮らせたのも壮絶な真実を伝えるため。

その後の展開は、なんともやりせない気持ちになる知るべき歴史。

ボブ・ディランが歌い、映画『大統領の執事の涙』にも登場する実話。
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