クリーム

ティルのクリームのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.9
1955年にミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット·ティル殺害事件」を映画化。胸糞過ぎて、さすがに言葉もない。今更ながら本当に深い黒人に対する人種差別問題をガッツリ観せつけられました。息子の為、戦う母の姿は観てるのが辛かったです。また、知らない事件だったので、勉強になりました。

シカゴから親戚を訪ねミシシッピ州に来ていた14歳の黒人少年エメット·ティルは雑貨屋の白人女店員キャロリンに話かけ、口笛を吹いたというだけで連れ去られ、殺害された。 エメットの母メイミーは、事件を世に知らしめる為、身の危険を顧みず、ミシシッピ州に行き、裁判で証言する事を決意するのですが…。



ネタバレ ↓



口笛事件から3日後、夜遅く、キャロリンの夫と腹違いの弟がエメットを出せと怒鳴り込んで、大叔父も叔母も抵抗するが、銃を向けられどうしようもなく、エメットは連れ去られ、殺され、遺体が川で発見された。
メイミーは暴行された上に頭を打ち抜かれ無惨な姿の息子を見て、彼に何が起きたのかを世間に知らしめる為、変わり果てたエメットの顔を見えるように棺を開いて記者に写真を撮らせ葬儀を行った。
犯人が捕まり、裁判になります。
しかし、弁護士が遺体は別人だと言い張ると予想し、メイミーは自身が証言する事を決意した。後に公民権運動の指導者となるメドガー·エヴァースが同行した。
証言に来たメイミーにオモチャの銃声音を出し、笑う白人の子供。法廷に入る前には、証言者、弁護士であろうと黒人のみボディチェックされる。街全体が酷い。
陪審員は12人、全員白人。裁判なんてしなくても判決は解る。勿論、無罪。キャロリンに至っては、罪を問われる事もなかった。無罪になった2人は、記者に多額の金を貰い、事件の告白をし、悠々自適な生活を送った。
メイミーは後に公民権運動家となり、ハーレムの集会で語るシーンで終わる。
又、2022年「エメット·ティル反リンチ法」が成立した。とエンドロールで流れます。
これは、人種差別によるリンチを連邦法で増悪犯罪(ヘイトクライム)と定め、被害者の死亡や重傷に至るリンチを起訴する事が可能と言うもの。

2022年って、2年前にやっと出来た法律です。何故そんなに時間がかかるのか意味が解らない💢腹立たしいが現状だと思うと憤る。
北部ではどうって事のない仕草と行為で、自らの命を奪う事になったエメット。まだ子供であった彼には、到底予期せぬ事だったと思うと気の毒でならない。しかもリンチの末殺されたなんて、どんなに恐怖だった事だろう。その代わり果てた姿を見た母、ミシシッピ行きを進めた祖母、胸糞では片付けられない。そして、加害者家族にも子供がいた事も背筋が凍った。あのモンスター達に育てられる子供はどんな大人になるのだろう?想像しただけで恐ろしい。アメリカの人種差別が根深いのは解っていてもキツイ内容でした。少しでも情勢が良くなって、行けばと願わずにはいられなかった。
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