Gatt

ティルのGattのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.2
公民権運動への一石を投じた「エメット・ティル殺害事件」の映画化。
母親メイミーの悲しみと闘いの様子が描かれる。良かったです。主演のダニエル・デットワイラーの演技に尽きる。大きな瞳が印象的な、この憂いの演技。間違いない、この人無茶苦茶上手い!

1955年。人種差別の、北部と南部の温度差は激しい。露骨な悲劇を生んでしまった。
シカゴから、ミシシッピーに遊びに来ていたエメット。白人に対する立ち振舞いを誤り、暴行の上、殺されてしまう。

川で発見された遺体は、頭部に銃口もあり、膨張した酷い状態。でも、その遺体に向け一大決心する母親。
当然社会には衝撃だったでしょう。トラウマにもなるくらいじゃないかな。

当時の南部の裁判の異様さも、明瞭に伝わってきます。
人種モノどの映画を観ても、必ずムカつく白人の態度に出くわします。偉そうに上からで、最後に必ずイヤミを乗せる。本当に現実もあんな感じだったんだと思う。
白人被害者茶番劇場(キャロラインの場合)も、心底腹立った!俺が代わりに殴ってやるっって言いたくなる。

ウーピー・ゴールドバーグが祖母役で出ています。
公民権運動家メドガー・エヴァースも協力者として描かれており、「ゴースト・オブ・ミシシッピー」へと繋がっていく公民権映画の連なりも勝手に感じた次第です。
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