店長

ティルの店長のレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.0
黒人差別全盛期のミシシッピで白人に因縁をつけられて、リンチ殺人された母親の奮闘。

実話を元にしているので、凄惨さ、登場人物の感情の起伏・爆発にリアリティ・正当な主張が存在している。フィルム越しでも憎しみや感情の震えを止めることができないほどにショッキングな映画であった。

自分が気に入ったシーンは2つある。

1つは、偉い黒人権力者と話す機会を設けてもらうのだが、それが「明朝」である。あれだけ息子を思う母親が、一日夜を越すのである。
ここは語られない部分、想像の部分だが、どんな気持ちで夜を越したか、過ごしたか。寝られるわけもない。
誰も気に留めない表現だったが、母親の心情を表すのに良いシーンだったように思える。


2つ目は、自分は映画の中で、母親が子どもたちが居るプールを目の前に、裁判後の人生は?黒人の地位について一生懸命話されるのだが、その時に裁判の事以外考えておらず、目の前の子ども達にカメラがフォーカスすることもない。
こういう演出が自分は好きなので、このカメラワークはまさに彼女の心情を表現した、映画にしかできない映画的表現で素晴らしかった。

4.5点にならなかった点は全体の尺、のバランスが少しアンバランスと感じた。裁判のシーンなどかなり短縮されている。捜索のシーンもやや冗長とも言える。
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