TAR/ターのjomdのネタバレレビュー・内容・結末

地位は泥臭く時間をかけてずる賢くもなり築いていくが、崩れる時は一瞬。

圧倒的な地位で、楽団というコミュニティにおいては絶対的な神のような存在に立つ者の傲慢さ、危うさ、恐ろしさ、音楽への執念ともいうべき追求心故の不安や焦燥感。それらを会話劇で丁寧に丁寧に作り上げ、ジェンガが崩壊するかのように一つのピースが外れてから全てが総崩れとなってゆく。

グゥッと変な声が出てしまったくらいにはラストで衝撃を受けた。

音を純粋に楽しむという本質に改めて気づいたターが迎えるラストはどう受け止めていいのか、まじで性格悪いなこの監督はと思った。

長尺ではあるが、会話や内容・画の撮り方も素晴らしいし何よりケイトブランシェットが本当に魅力的だ。当て書きされたらしいがもはや、映画という作品を飛び越えて現実で起きてることかのように錯覚してしまう。

ターの着ている服装もカッコよかった。
あんな服を着こなしたいものである。

好き嫌いは間違いなく別れるだろうが、素晴らしい映画だった。