EnoTaka

TAR/ターのEnoTakaのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
いやぁなんか意外と普通だったかも。なんともいえない。今年のアカデミー作品賞にノミネートされたっていうのと、主演がケイト・ブランシェットっていうのと、衝撃のラストっていうのがあってかなり楽しみにしてたんだけど、期待しすぎて勝手にハードル上げちゃってた。ケイト・ブランシェットの演技や振る舞いの貫禄とか、映画から感じる圧倒的な重厚感と崇高な空気感はすごく良かった。芸術の気高さとオーケストラの世界のシビアさがすごく伝わってくる。そしてスリラーな感じの演出でターの精神的な動揺やプレッシャーを上手く視覚的に表現してた。そこら辺のクオリティは確かにすごいし評価できるけど、ストーリーは終盤まで特に大きな動きはなく、作品の評価全てをラストに委ねるような作り方だった。最終的に結末がどこに行き着くのかによって、終盤までのストーリーの価値や評価が大きく変わるって感じ。だけど意外とべつにラストがクライマックスっぽいわけでもなく、なんか軽くかわされたような作りだった。結局ラストにも大してピーク作んないのかよって思ったけど、そのあっけなさがこの映画で言いたいことなのかもしれないなっていうのは感じた。2時間半もあったのになんか不完全燃焼って感じでもったいない作品に思えてしまった。あと良くも悪くも現代の社会情勢や社会問題がそのまま映画の世界にも反映されていて、今の世の中を皮肉るような一面もあった。全体的になんか中途半端だったかな。
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