いま芸術が直面している問題でもある、アーティストが過去に行った事と作品の自立性の問題。キャンセル・カルチャーの問題。
世界的指揮者リディア・ターの崇高性・権力・狂気・純粋さ…、ケイト・ブランシェットの最高の演技を見られました。
ランニング中に聴こえる謎の悲鳴や、夜に鳴るメトロノーム、5番のスコア紛失のシーンは、軽めのホラー要素があってよかったです。ターがみた幻想かもしれないが、不穏で危険な気配やその予感が常にターの周囲に潜んでいる、このはっきりとしないがたしかにある気配は隠し撮りでLIVE配信され、SNSで拡散される、そしてそれを見る敵意をもった大勢の気配とも重なり、恐さをひしと感じました。