鹿

TAR/ターの鹿のネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

なんか良く分からないが、いつの間にかケイト様の吸引力に惹き付けられ、一生ついていきますっ!!という気持ちにさせられている、鹿。取り巻きはいっぱいいるけど、みんな結局は打算的で、才能溢れるケイト様に群がって、ご機嫌をとって気に入られ、おこぼれにあずかろうとしているだけじゃないか?ケイト様は素晴らしい芸術家だけど、超一流の芸術家にありがちで、人の気持ちなんか分からないし、自分の思い通りにするために、思わせ振りな態度で散々期待させて尽くさせた挙げ句、ポイ捨て。自分の気持ちがおさまらなければ、子どもっぽい復讐もする。それで人ひとり破滅させても心が痛むなんてこともないのだ。ケイト様の魅力は悪魔的なものであって、はじめから、人としての愛情なんかを期待する方が間違っているわけで、それで裏切られたのなんだのっていうのは結局あんたがたもケイト様を利用しようとしているだけってことだろう?鹿は違う。ケイト様がしてきたことも全て受け入れ、自分が出す美しい音楽を騒音扱いされたことをきっかけに精神崩壊しようと、アカデミー賞をのがそうと、そんなことはあなたの価値に何の関係もない。鹿だけが利害や損得なしにいつまでもおそばにいます。……あなたが指揮者の役で主役をつとめる映画の撮影が始まるから、と言って家を開けてからずいぶん経つような気がします。そろそろ用意していただいた食料も底を尽きてきました。地下に缶詰めの備蓄はありますが、鹿には開けられません。いえ、あなたを疑っているわけではありません。早くお会いしたい、ただそれだけです…………。
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