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TAR/ターのchiのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
長い長いオープニングロールから何かすごい物が始まる予感がする。導入から信じられないような台詞量。158分、ほぼ出ずっぱりのケイト・ブランシェット。栄光の中で傲慢な姿から転落していく姿まで、最初から最後まで圧巻の演技。これは彼女の映画である。

話している内容も少ししか理解できないし、挟み込まれる様々なシーンもそこに含まれた意味もわからないことばかり。解説してもらわなければ、さっぱりわからない映画である。でも、わからない=面白くないではない。
元々男性だったらしい主人公を女性にしたことを筆頭に、ものすごくポリコレを意識した作品で、それが賛否両論を呼んでいるとも思うが、2020年代の今だからこそ作られた、今に合った作品で良いと個人的には思った。ターの講義に様々な人種の学生がいたことも、学生が本を読まずにSNSに流れる情報に染まっていることも、盗撮されて悪意を持って編集された動画が拡散されて全てを失うことも。

娘がぬいぐるみをオーケストラのように並べていたシーンが好きだった。

万人には勧められないし映画好きでない人には絶対NGだが、映画好きな人は見る価値はあると思う。そして配信だと高確率で途中で挫折すると思うので、見るなら映画館で見るべき。
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