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TAR/ターのmeのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.7
とても不愉快になる。淡々とした、現実にも起こそうな、感じたことがあるような不安や不快感。この映画の冒頭から1時間は不愉快だった。切れ目を見つけられないカフェでの会話、指摘や批判に耐えるべく貧乏ゆすりが止まらない学生。その学生に対する苛立ち。現実のわたしも引っ張られて、左右の座席につく客の衣擦れの音やストローがカップを混ぜる音に過敏になっていた。
音に対する神経過敏。この映画にはBGMがなく、自然音、それも生活において気になり出したら不快になる音が散りばめられている印象が強かった。敢えてなのかは不明だけど。ホラー映画のようだったので、そこもこの映画の掴めないところだった。

これが特に自分にとって印象的なことで、映画の本質に関しては1回見ただけでは理解しきれない。2回目観たら別の解釈や理解が起こるのかなあと思っています。

リディア・ターは傲慢な人間だとは思ったけれど、例えば学生との会話は嫌味だけど本質的なことは語っていると思った。苦手なものも、向き合ったときその是非の裏付けがとれる。
娘に対する愛情も本物なのではないか。誰もいない場所でその曲に名前を付けること。
しかしハラスメントはいけないので、シャロンやフランチェスカに対して同情するし、結局見放される末路は悲しくもしょうがない。

向かいの部屋の娘夫妻が訪ねてきた際のブチギレ具合は理解できる。

時々差し込まれる水辺のベッドのイメージシーン、不思議で少し怖いけれど綺麗だった。
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