権力とキャンセルカルチャーの話であり、
エゴに塗(まみ)れたターが、セルフ・プロデュースのコントロールを失っていく贋物の神の物語。
しかし、失ってやっと気付いたのです。
今まで自分が崇高な芸術だと思って演奏していたものは、ターが後半経験したフィリピンの売春同様、一瞬の快楽の提供に過ぎなかったと。
そして、自らが「芸術」という大きな大きな河の、ひと雫だと言うことを気づくのです。
TarとはArtのアナグラム。
ラストは、エゴを捨て、
永遠なる芸術の神への奉仕、そして再生。
ターは間違いなく救われた。