アーモンドフィッシュ

TAR/ターのアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.6
町山智浩さんやTwitterのフォロワーさんが絶賛していたので、気になって観に行きました。ただですね、町山さんとそのフォロワーさんがオススメする映画の9割近くが私も面白いと思う映画なのですが、残りの1割が決定的に違うので、もしTARもその1割の映画だったらどうしようと思うのと、クラシックの知識が皆無だったので楽しめるかどうか疑問だったのもあり、観に行くのに躊躇していました。ただ大好きなケイト・ブランシェット主演というのに少し惹かれ観に行くことにしました。

一言で感想を述べると、多種多様な解釈が出来、非常に難しい映画だという印象。パズルで例えるなら1000ピースのパズルに800ピースしか用意されてない。残りの200ピースは観客が想像で埋めてくれと言わんばかりの内容でした。つまりですね、その200ピースをどういう形にするかによって解釈が人によって変わってしまう映画だというものです。なので謎解き物が好きな人のように、映画の中で全て解決させたい人は向かないのかもしれません。冒頭のクラシックの話は本当にちんぷんかんで、指揮棒が足に刺さって死んだ人がいるというのだけ勉強になったくらいです。あとオードリー・ヘップバーンがEGOT(エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞全制覇)の一人だというのにも驚きでした

ストーリーは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の女性初の首席指揮者であり、作曲家としても名高いリディア・ター(ケイト・ブランシェット)を描いた映画です。リディアはその地位によって得た権力を使い、若い女性音楽家に肉体関係を迫るなどのハラスメントを行っていました。しかし、被害者の一人が自殺したことをきっかけに、リディアの蛮行を告発しようという動きが出てきます。キャリアの危機を前にして、リディアは徐々に精神の平衡を失い始めます…

ケイト・ブランシェットの演技は圧巻でした。トッド・フィールド監督がケイト・ブランシェット主演で撮りたいと思って書いたオリジナル脚本で、ブランシェットが断ったら脚本自体をお蔵入りにするつもりだったそうですが、幸いにもブランシェットは出演を即座に了承したのだそう。彼女はリディアという複雑で魅力的なキャラクターを完璧に演じ切り、指揮者としての迫力やカリスマ性はもちろん、内面の苦悩や傲慢さ、孤独さや恐怖心など、さまざまな感情を表現していました。ただ他の方が指摘すような傲慢な人にはみえなかったです。冒頭で男子学生を論破するシーン、男子学生がバッハは女性差別的だと言ったことに対して「個人のパーソナリティーと、作品としての偉大さを同列に扱うべきではない」というリディアが言ってることが正しいと思うし、それほど威圧的には私は思えなかったです。ただその学生の貧乏ゆすりの癖を自慰行為だと揶揄するのは行きすぎかなと思いましたが

ラストシーンは衝撃的と言うより、呆気にとられると言った表現が正しいでしょうか?「え?これで終わり?」と思わず声が出るかもしれません。そして解釈が人によって変わると思います。詳しくは書けないですが、簡単に言うと「彼女は悲しんでいるのか?それても心から喜んでいるのか?」。私は喜んでると思います。というのも、ラストに描かれるリディアの表情が霧が晴れたように笑顔なんですよね。憑き物が取れたようなそんな感じです。そういう解釈をさせるのもひとえにケイト・ブランシェットの抜群の演技力であることは間違いないことですね。ちなみに私の隣に座っていたお兄さんはぼそっと「クソ映画やな…」と呟いていましが(笑)彼には200ピースが合わなかったみたいです🥺

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余談ですが、最近FilmarksレビューにはAIに手伝ってもらっています。この映画について面白い考察をしていました↓↓

🤖「本作ではマーラーの交響曲第5番が中心的な役割を果たしています。この曲はリディアが指揮するオーケストラのレパートリーであり、彼女自身も作曲家としてこの曲に影響を受けています。また、この曲はリディアの人生や心情とも密接に関係しています。第1楽章は死や運命を暗示する厳粛な行進曲であり、リディアが直面する危機や苦悩を表しています。第2楽章は激しい衝突や闘争を描く楽章であり、リディアが周囲と対立する姿や自分自身と戦う姿を表しています。第3楽章は軽快なスケルツォであり、リディアが音楽に対する喜びや情熱を表現する姿や他人と交流する姿を表しています。第4楽章は有名なアダージェットであり、リディアが愛する人への思いや優しさを表現する姿や自分の弱さや傷つきやすさを表しています。第5楽章は勝利や希望を象徴する華麗なフィナーレであり、リディアが音楽によって救われる姿や自分の過ちに気づく姿を表しています。」

なるほど!これは気が付かなった!映画自体が「マーラーの5番」を表現してたのか!!それにしてもAIの進化は恐ろしいですね。