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TAR/ターのtokiwa3256のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.3
楽しみにしていた『TAR』を観ました。
1回目の鑑賞では、う〜ん3.8
2回目の鑑賞では、いやはや4.8
よってスコアはふたつを割って4.3
2回目だけなら今年の劇場マイベスト。
今年配信で観た過去作でのマイベストは、なんとなく似ている『ザ・スクエア〜』だから、自分はこのような題材の作品が好みなのかもしれない。

これは凄い映画だった。
でもこの映画の凄さを1回では理解できない自分がいることも事実。
つーか1回観ただけではわからんでしょ、おまけに長げーし。
怖いシーンが苦手で半分目を閉じてしまうので、1回目では数々の幻覚(幽霊?)シーンはちっともわからなかった。。
あれ最初のインタビュー会場のバックショットからして全てクリスタだよね。

いかにも名指揮者っぽい名前のリディア・ター。でもホントはラッパーみたいな名前のリンダ・ター(笑)名前からして彼女の虚像が浮かび上がる。
クラシックのことはそこまで深い知識はないが、マーラー5番はCDを持っているので(5番といえば『ベニスに死す』ですよね)クラウディオ・アバドのレコードを足で扱う俯瞰映像や公開インタビューの超長回しからググッと引き込まれた。その後のジュリアードでの詰めるシーンがイイ!「芸術性と人間性」ってのは日本でもタイムリーな話。確かに不快なシーンなんだけど、一方でどんな理由があるにせよ世界的な指揮者を志す者ならば偉大な音楽家と向き合うことは理屈抜きに必要なことなのでは。そもそもこの子の入学動機に芸術性を感じられないし。まあ詰め方の問題だな、この詰め方じゃないと映画にはならんけど。
でも自分は無知なことに「キャンセル・カルチャー」なる言葉を知らなかった。

にしてもケイト・ブランシェットは
自分がこれまで大好きだった『ブルー・ジャスミン』の演技を軽く超えてしまった。もはや何も言うことはない。

終盤が混沌としているところなんて
引用されていた『地獄の黙示録』みたいだったし、監督ってあの『アイズ・ワイド・シャット』のピアニスト役だったのね。しかもキューブリックの薫陶を受けていたのか。どうりでどうりで。

この後はこの作品のオマージュ対象である最近ハマり中のシャンタル・アケルマン監督作品『アンナの出会い』を観たいなぁと。
でもその前に3回目を観ようかしらん。
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