ラピュタん

TAR/ターのラピュタんのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.6
うち震えるような
美音、微音、無音

芳醇な傑作⚡️です

静かに…静かに…
忍び寄る影と雑音

待ち受ける、驚愕のラストシーン🧊🦣🧊

この作品は、音楽と女性と栄光の複雑さについての三重奏だと感じました
(監督曰く、ヒエラルキーの物語でもある、と)

音楽を紡ぐという使命が究極まで追求される過程 
その舞台裏のサスペンス
ケイト・ブランシェットという驚天動地の天才がワイン🍷なら、楽団が奏でる音がチーズ🧀かな?
でも、あるところから、その🧀がブルーチーズに…
いや、🍷が🍸🍸に!

雰囲気は「ブラックスワン」のようでいて、より静謐かつ協奏的(女優たちによる演技の協奏…)
ケイトさんのみならず、皆さん本当に素晴らしかったです 
自然な演技で男性も含めて役者って素晴らしい、歳をとるってことも素晴らしいと感じさせてくれました 

稀有の才能は、欧州の中枢から誕生した🐣のではなく、リディア・ターさんは異色…時代の寵児というより異端児😈

そんな人物を美しく掘り下げていきます!才能だけでなく音も無音も効果的に使いながら、丁寧にかつサスペンスフルに!

物語は常に二重の意味を付与されつつ進行します 
「ターとは何者なのか??」
 何をしたの?
 どのように栄光を手にしたの?
 …

マーラーの和音や力強いチェロの音色などの他に、張りつめた「無音」の美しさを味わえますし、「微音」も非常に効果的に使われていました
音の幅広さの中にどっぷりと浸れます 
長く感じませんでしたが、最初のトークシーンが関門でしょうか?
いろんな含みがあって、知識があるとより愉しめるように出来ています(そのようでした😅)


ところで、音楽は一種の騒音なのだともいいます(バーンスタイン)

クラシックはその中で、最も美しい騒音といってもいいでしょう

マーラーの最も有名なアダージョ(交響曲第5番の)が、断片的ではありますが、聴きどころが巧く抽出されていて、とても美しく奏でられています 
とはいえ、演奏シーンは少なめです あと半時間長くして呉れたらもっと聴けるのになー☺️と感じないわけではありませんが、それで良いと感じました 何故なら、直接的ではない表現方法で充分に音楽を描いていたからです
(なお、CDがそれを補ってくれるよう)

芸術であるが故とはいえ、極端なエリート偏重でもあるクラシック音楽はいかにして、私たちの耳に届けられているのか、紡ぎ手の側からちゃんと奏でられていました

クラシックファンなら、唸る作品かと


⭐️エルガーのチェロ協奏曲の暗喩
 この作品は、まだ女性奏者が珍しかった
 楽壇という男性社会に生まれたものの
 初演時にロンドン交響楽団をエルガー
 自らが指揮を執っていますが…
 チェリストは、女性だったのです👩‍🍼
 その歴史を巧く活かしたサスペンス!

⭐️映画と相補的なサントラあり💿
 撮影終了後に2週間かけて録音された…
 オルガさんは本物のチェリスト🎻
 彼女の初レコーディングも聴ける特典!
 😆どなたか入手されたらコメントを〜

⭐️ この作品の求心力を高めるために
 優れた音響空間が望ましいはずですが
 サツゲキのシアター4は音響がとても
 良い(と思います)ので集中して堪能🤍

⭐️ター率いる楽団はベルリン・フィル
 という設定ですが、ロケの多くは
 ドレスデンで撮られています(終盤では、あのホールが登場!)
 …イロイロなサプライズが仕込まれた作品
 でもあります 🤎🩵🤎@🧡🤍🧡

⭐️ポスターのTARの意味は?
 あれはたぶん、両手を広げた、飛翔🦅
 のイメージ🪶
 でも、それは同時に……

⭐️最後は…ハッピーエンド?
 この作品の本当のテーマが浮かび上がる
 ラストシーンの驚愕🧊🫨
 その驚愕の氷はやがて溶けて
 そっとあなたに囁くでしょう〜🎵
 ターとは何者だったのか、その
ラピュタん

ラピュタん