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TAR/ターのMのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
「有害な男らしさ」をフェミニストではないレズビアンの中に見る映画。仕事においては誰よりも男らしく居丈高で、家庭においても絶対的な父親であるター。彼女の完璧な人生はいつの頃からか古びて朽ちはじめ、新しいカルチャーやロジックを持つ若者たちからは疎まれ、後ろからは忌み嫌っている老いの足音が聞こえてくる。
私はターのほうが世代が近いので、男性社会で生き残るには過度に男性的に振る舞う必要があった時代の事もよくわかります。また、老いていく権力者と新しい風をもたらす若者の関係がちょっとヴィスコンティの『家族の肖像』のようでもあり、永遠に繰り返される普遍的テーマをここでも見つけました。
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