あんじょーら

TAR/ターのあんじょーらのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
トッド・フィールド監督   ギャガ    吉祥寺オデヲン


ケイト・ガラドリエル・ブランシェットが主演なのと、クラッシック音楽に興味があるので観に行きました。ただ、何にも情報を入れてないので、ただ指揮者の話しだと思ってましたけど、全然違った。それと最近なかなか眠れなくて、そのせいで予告編で寝落ちしそうになったのですが、本編が始まると(ちょっと驚愕の、スタッフロールの長さ!)全然眠気が吹っ飛ぶ面白さ!


ベルリン・フィルの首席指揮者であるTAR(ケイト・ブランシェット)はEGOT(エミー賞、グラミー賞、オスカー、トニー賞)の4つすべて受賞している今まで20名程度のうちの1名であり、現代のクラッシック会を牽引する女性指揮者です。タイトなスケジュールの中で仕事をしているのですが・・・というのが冒頭です。


凄く見終わった後に誰かと話したくなる、そんな映画です。すっごく面白かったですし、ずっと考えさせられます、私はこういう映画が好きです。ただ、今作はクラッシック音楽の世界の話しなので、全然知識が無い部分もありますけれど。ですので、伏線や細かな暗喩など、分からない部分もかなりあります、が、それを別にしても大変面白く、ぐるぐると考えられ続けられる映画です。


ネタバレなしの感想ですけれど、監督のトッド・フィールド作品は観た事が無いので不安はありましたけれど、音楽が好きな、特にクラッシックが好きな方なら、オススメ出来る作品。音楽だけでなく、音、に非常に気遣いがある作品です。映画館で観たい作品。


それと、この映画の恐らくテーマはいくつもあるとは思いますが、私が気になったのは、作品と作り手の関係性、それと、成功者の傲慢、という所でしょうか。


このケイト・ブランシェット演じるTARというキャラクターは、かなりの完璧主義者ですし、更なる高みを目指して努力も怠らない能力の非常に高い人物です。ケイト・ブランシェットが演じる事で、とても説得力ありました。もちろん映画的な演出なんでしょうけれど。このキャスティングだけで観る価値あります。


ただ、もし男性だったら、と考えると、凄く見た事がある感じになってます。


それと、完成し、提供された作品と、製作者の関係を描いているのですが、この問題についても凄く考えさせられます。ですが、私は基本的に作品は別だと思いたい。しかし、被害者が、精神的にも肉体的にもいるとしたら、それは別、という事だと思います。この辺の線引きが非常に難しいですし、今読んでいる本で、分類、について学んだのですが、確かに非常に難しい問題を感じます。個々に判断するしかないですし、その情報は共有されるべき。


能力のある人の苦悩、という部分もあります。どんな人にもその人なりの苦悩がある。共感はしにくいですけれど。


音に興味のある方にオススメ致します。


ネタバレありの感想は、コメント欄で。