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TAR/ターの犬好きのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.3
記念すべき1700本目は…

流石はアメリカの映画。細かいところの完成度も含めて、恐ろしく高い

内容が専門的すぎて、とりわけ出てくる人物や言葉に付いていけない人が多い(いや、おそらくほとんどがそうだと思う)と思う。しかし、背景知識がある人がつぶさにこの映画を観察しても、ディテール含めて実によく出来ている。例えば、ジュリアードの練習用の合奏メンバーを見よ。これぞニューヨークの音楽学校の今である。アイヴスはヒグドンを知らなくてもいい。全てをその道の専門家が監修する映画だからこその完成度だが、それは傍に置き、ブランシェットの演技だけを見るのでもいい。敢えて言えば指揮ぶりのみやや素人だが、ここだけは仕方ない。そんな簡単に俳優が指揮者になれるわけではない。しかしその他の彼女の演じ方は、彼女が今俳優としての頂上付近にいるということを、私たちに伝えてくる

いきなりエンドロールに面食らうしかない。そしてブランシェットが憧れるクラウディオ・アバドのシャツ姿。彼がベルリンを振ったマーラーの5番のライブ録音はたしかにいい。私もよく聴く録音である
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