あんびー

TAR/ターのあんびーのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

「作品に罪は無い」という言い分、優れた芸術を残した者の人間性や犯した罪によって作品自体を汚すべきではないということ。

冒頭の授業でバッハは差別主義者であったから嫌いだと語る学生。対して芸術と私生活は別けて考えるべきだと否定するリディア。ここから彼女の人間性を肯定できるか否定するかで観客は篩をかけられ、リディアを肯定できるか否定するかで評価が真っ二つに分かれる。

彼女を貶めたのは彼女自身でもあるが、SNSや情報過多も要因の一つだと思う。
もしバッハやマーラーが生きた時代にSNSが発達していたら、彼らの楽曲は正統に評価されていたのか?行き着く果ては、指揮者を初め表現者はヘッドホンで完全に外界から遮断され、観客が望む作品だけを表現するような世界なのでは?

初心を忘れ頂点を目指すあまり狂気に堕ちていきながらも表現者として凛とした姿勢を感じさせるケイトブランシェットの演技にただただ圧倒され目を奪われた。
あんびー

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