Aya

TAR/ターのAyaのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.6
#twcn

トッド・フィールドって書かない方がいいよw

ピンとこないにも程があるもんw

高尚な映画かと思ってたらもっと人間的で笑える映画で大好き!

またしてもドイツが舞台の映画で #ウーマン・トーキング ともハシゴできるのでヒドゥル・グドナドッティルさんリレーが出来る夏の出町座さんにて。

正直、音響のいい劇場で観たいな、と思ってたのですがアチラコチラで演るので延び延びに。

でもMixの段階で綺麗に撮ってるからあんまり出力は関係ないかも。

わたしは耳があんまり良くないので自分で左右を調整しないと音楽映画はちゃんと音が拾えないんですね。

特に左耳が弱くて。

でも弦楽器は主に右耳で聴けるのでその意味でも👍

舞台はベルリンオーケストラ。
主人公は世界的なマエストロ、ケイト・ブランシェット様。

名だたるオーケストラでの指揮経歴、講師経歴、世界を飛び回り民族音楽を取り入れジェンダー改革にも熱心な活動家としての一面も。

著書の発売と自身の9番目のレコードオケを控え在住のベルリンにはヴァイオリニストの妻と小学1年生の娘。

指揮者仲間からは頼りにされ若い音楽家の憧れの的。慈善団体からの寄付もディナーを共にするだけでホイホイ。

何もかも持っているように見える彼女の生活が若いドイツ人チェリストの登場で次第に狂ってゆく…

何語かな?と思ってたら半分くらい英語でありがたかったw

オーケストラ指揮の時の細かいドイツ語なんかは字幕も出ずとても観やすい。

アシスタントの役でノエミ・メルランが出てたけどフランス語じゃなかったよ✨
ノエミ・メルランは弱さを瞳の揺れで表現できるのが本当に素晴らしい。
一見頼りになるお姉さん的な佇まいなのに知れば知るほど彼女の臆病さが表現されるの大好き。

おケイト様はいつも"完璧"なんやけど"完璧"であればあるほど足を引っ張る周りにウンザリしてて実は自分でもウンザリしてるの。

娘をいじめる子どもを脅したりw

丸められた書きかけの譜面や在庫の蓄えられた鉛筆、製本されたスコア等々、音楽家としての彼女の特徴がよく出ている。

"完璧"主義で潔癖症。ベジタリアンの外国人でレズビアン。

彼女は名だたる作曲家のような"近寄りがたさ"を演じながら自分の人生をコントロールしている"つもり"のエセ自信家。

そこに不幸なニュースと彼女の恋慕で一気に全てを失ってゆく様は映画が始まって見せられていた"完璧"な彼女とは程遠くどこか親し気に感じる。

そして彼女の転倒(マジで転けはるw)と転落は皆んな自分に置き換えて見てみると心当たりがあるのではないか?

アソコでああしてたら、アノトキ別の選択肢をとっていたら、ソコで別の言葉を発していたら、、、すべては後の祭り。

起こってしまったことは後から取り返しは付くけど向き合わなければ先には進めない。

自室に戻り『リンダ』と語りかけられる彼女の方が"完璧"なマエストロより愛しい人物だ。

ひとは脆い。
そして強い。

ラストのオーケストラはそれを観客に訴えてくる。

俺たちは強い。
何時何時、どんなことがあってもやり直せるし完璧でなくてもいい。

それがあなたなら。


日本語字幕:石田 素子
Aya

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