旅するランナー

TAR/ターの旅するランナーのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.3
【到ターツ点】

ケイト・ブランシェットの凄さに改めて驚愕する。
「エリザベス」以来、四半世紀に渡って、第一線で超一流の演技を見せてくれる大女優。
そんな彼女が、ここに来て、更なる高みへ到達する。

彼女が演じるリディア・ターは、ベルリンフィル初の女性首席指揮者まで昇り詰める。
その発信力・発言力・牽引力に目を見張るばかり。
音楽業界・映画関連ネタもチョイチョイ挟まれます。
徹底した役作りもあり、あたかもターさんが実在する人物のように思えてきます。

ところが、トップランナーとしての重圧、パワハラまがいの言動への反感、周りの人間関係のほつれ、各所からの妬みなんかが溢れ出し、ターさんのキャリアは崩壊してきます。
この展開がスリリングに描かれます。
観る者を圧倒する熱演です。

ただ、ラストのオチが画竜点睛を欠き、折角ここまで築き上げてきた緊迫感が台無しになってしまいます。
このケイト・ブランシェットの到達点とも言える作品が、もっターいないです。
惜っしいわぁ。
ほんまアホなことしはりましたなぁ。
アホちゃいまんねん、ターでんねん。