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TAR/ターのgesuのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

前情報ほぼなし、主演知ってたくらい。
ケイトブランシェットの一騎当千の演技が楽しめる。
壮大な指揮者版街録ch。
クラシック音楽の指揮者というもはや身の回りにサンプルがほとんどいないクローズドな世界の栄枯盛衰。
作風としてはもはやオカルトのようなものを持ち出さんばかりにダークだが、その実古典的な悪習や無意識を否定できずにいるようだ。
主人公がある生物学上の男性との授業でのやりとりや、過去のネームバリューのある指揮者のやらかしが本質なの?
バッハの私生活(生涯に渡り複数の女性と結婚し20人以上子供を産んだ)が自分には合わないから聞かない、という生徒に、その人の性的指向の評価だけで音を聞く耳を閉ざすのは音楽を学ぶ上で可能性を閉ざすこと的な。

職業音楽家、とりわけオーケストラの成り立ちからよくわからんけど、めちゃメイン指揮者の権力強いんすね。
ソロは年功序列ではないのは普通なのかな?
個人事業主の集団という認識でしかないんだけど入団やソロの担い手を選ぶ手順がブラインドテストなのはむしろ公平に感じた。一部めくれてたが。
あと演奏側だと第一バイオリニストがめっちゃパワー持ってるんですね。
意見の合わないおっさんの副指揮者やめさせたり新人チェロ弾きの扱いが完全にオキニ状態でそりゃ波も立つよ。
ニコニコやもん仕事場呼んだり。
同時並行で指揮者養成プログラムに参加した生徒に業界に居られないよう裏で手を回して自殺に追い込む、我関せずを決め込もうとする。
おきにのあの子も、結局上昇志向のために彼女に取り入った(そしてまんまとのっかった)ってわけやな。
上手いけどな十分。

失墜してからのアジアってのがなんかもやもやする。わかるけどさ。
マッサージ店のあのシステムで、性的指向や出自で評価することに説教垂れてたくせに、やっと自らも実践していたことを自覚してリバースした?
ラストもオーケストラのトップオブトップからの転落を経ての地球の反対(物理的に)でしぶとくやってるのがザ・ドサって感じで良かった。
生きてく生きてくなある意味ノンフィクション味もあったなー。
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