クールな天才女性指揮者の話かと思ったら、ワインスタインやジャニー喜多川みたいな醜悪な権力者の話になっていた。
ケイト・ブランシェット演じる主人公ターの男性的な服装や言動、才能溢れる自信家な振る舞いで序盤は魅了される。そんなかっこいいキャラクターなんだけど、徐々に小さな違和感がポツポツと出てくる。それでも、なにか意図がある、深い意味があると思い込みながら見ていくと、最終的にその違和感が正しかったことが分かる。
今まで権力を持った男性がやってきたような権力を悪用した性的搾取をただやっているだけとも言えるんだけど、「クールなレズビアンの女性主人公キャラクターがそんなことをするわけがない」という勝手なバイアスが掛かっていて、認めるのに時間が掛かった。
全てにおいて直接的な描写があるわけではなくて、映画の描写されているシーンだけなら主人公は音楽には誠実に取り組んでいるように見えるし、切り取りされた動画と同様に実は主人公の主張が全面的に正しいという解釈も可能。
思わせぶりだけど真実は明かされないみたいなシーンが多いのは好みじゃなかった。