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TAR/ターのca324のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5
この映画のケイト・ブランシェットを見ていると、最近見た「ゴジラ-1.0」の安藤サクラを思い出します。
二人とも役を解釈しアウトプットする力に優れているのに、脚本に表現された役柄のリアリティのための肉付けがいまいちなので、演技の上手さが浮き上がっているように感じる。
ケイトのための当て書きという触れ込みでしたが、実際は元々男性想定で書かれた役を彼女用に作り変えたらしいので、リディアがオーケストラのトップとして強権をふるうというのはまだしも、レズビアン・貧困家庭出身いう属性を持ちながらその地位に上り詰めるまでに性差別の例外だったかのような講演会での発言、国際女性デーを知らない、SNSの中傷への対応に鈍感、というのは設定に対してあり得る人物像ではないなと思いました。
これがよしながふみ版「大奥」のように男女逆転パラレルワールドで、女性が当たり前に組織のトップに立てる世界観なら分かるのですが、コロナもあり、歴史的背景は現実と変わらないようなので。
自分で時間とテンポをコントロールすることにこだわるリディアの立場が崩れていくほど静かで淡々としていた映画そのもののテンポもジェットコースターのようにメチャクチャに速度を上げていくのは良かった。
「燃ゆる女の肖像」のノエミ・メルランがキャスティングされてるのも嬉しかったのですが、もうちょっと面白みのある役柄だったらな。
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