麩菓子

TAR/ターの麩菓子のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.5
映画が足りないんだと彷徨うようにWOWOWをつけて始まった作品。ケイト様史の中でまさかの1番刺さるタイプのケイト様だったかもしれない。ターは権威の中の少数性者として注目と称賛を浴びるがその世界に生きるには保守的な面が必要と。その保守性は男性的な振る舞いに表れる。WOWOWで見たので字幕がかなり男性的なのが少し気になった。そこまで高圧的な話し方をしているのだろうか?
大学の教壇のシーンはかなり文脈として納得できたのだが、そこが私が保守的だと言われる所以だろう。
"ささいなこだわりは自由を損なう"
"エゴと個性を昇華させる"
学生としての立場、音楽に携わる者としての決意的な意識としてターの論には率直に納得させられた。これは考察等を見て感じたことだが、確かに、自分の人生を軸とした時ターのような生き方は奨励されないなと。そして時代の流れは"自分の人生"に重きがいってるのかな〜と。このターの芸術人としての姿勢は至極真っ当だと感じてしまった。ここは数年後見た時どう感じるのだろうか。

私は当初フランチェスカとオルガがグルでターを貶めようとしてたのかとなんの疑いもなく解釈していたのですが、クリスタとフランチェスカなのですね。確かに納得。ターの中のクリスタが存在感を増していく描写は圧巻でした。何が何だか分からない、不安と影が忍び寄ってくる。その元凶ともいえるクリスタの暗示が絶妙でした。

最後の場面、中国での活動。私は最後に何を思ったのか思い返そうとしたのだが…どうやら最後に重点を置いて見れていなかったよう。あぁ、こうなるのだなぁ、あぁ、、という感じでした。墜落の一途をたどりながらも己の芸術家としての道を歩んでゆくターにはなんとも言えない気持ちになりながらしかし悪い未来だとは思わず。最後の謎の観客たちはモンハンのコスプレのようで。私は若者なのですが大学生ですし、全く分からずなんじゃこれとなりました。中国はこんなもんなんか?と思い腑に落ちさせました。愉快ですね。私の思考。