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TAR/ターのkanappeのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.5
今年公開作品の中で取りこぼしてしまっていて、遂に見たんだけど、バチバチの怪作だった。
特にラストは今年観た映画の中でも衝撃的(笑劇的)最高のパンチラインでした。
こんなにヤバい映画だったのであれば誰か早く教えて欲しかった。

リディア・ターという架空の天才女性指揮者の話。どんなサイコスリラーが始まるんだと楽しみにしていたら、間違いなく「その辺に良くある話」であった。
ただ、「女性」で「権力」を持っていて、超ハラスメントしてくるのが新鮮なのだ。「女王の教室」の天海祐希を彷彿とさせる。ヤバい人間なのに「かっこいい」から人は彼女が嫌いになれない。ストーリー自体も、観客に想像させるために「ターはどこまでやったのか?」「どんな人間なのか?」がかなり断片的に描かれ、ぼかされている。
町山智浩氏が「オヤジだったらもっと最悪だった」と評していたけど、もし仮にこのままオヤジだったらよく聞く話だから凡作だったかもしれないな。人は権力を握るとオヤジ化してしまうのかもしれないな。
女でも男でもキモイもんはキモイし、それが新視点であるというのが「時代だなあ〜」と思った。


ラストは個人的にびっくりしすぎて笑ってしまったのだけれど、少し落ち着いて考えてみて、彼女なりの答えが出せたのだと思うと少し嬉しい気持ちになった。
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