ケイトブランシェットの鬼気迫る演技を引き出すために作られた映画らしい。
それに120%の力で応える彼女は素晴らしい。
が、天才のエゴと私欲が現代のネット社会に晒され転落していくリアリティは良く描けているが、リディアのクラシック音楽へのひたむきな愛と情熱の描き方は希薄ではないだろうか。
言葉でバッハやマーラーへの愛と情熱は語っても指揮のシーンそのものは素晴らしいが断片的で、ポスターの写真で想像するような場面はなかった。前半の長いインタビューでのクラシックへの情熱の表れが、後半のスリラーな場面の連続とラストに繋がらないのが非常に残念だ。