己を自ら縛り上げていく。
芸術とキャンセルカルチャーの論を描いた、現代的な映画。
自分で思ったことを言語化してみようと思います。
音楽の少なさ
割と最初の方はいかにリディアが世間で優れた・絶対的な指揮者かということを描いていました。そのため、音楽のシーンや彼女の凄さを音楽で私たちは観ることができない。ですが、ラストを観るとこの意図もわかります。でも、個人的にはサントラ等で補って欲しかった感はあります。
怪演
途中からリディアが壊れていく様はケイトブランジェットの演技力が冴え渡っています。特に、不安定な表情から声のトーン等。カリスマ的なオーラから狂うところも。
権力
様々な障壁を超え、絶対的な指揮者となりましたが、それが権力となり、エゴや傲慢さやしがみつき欲によって自分を苦しめていく。そして、狂う。現代でよくあることでありつつ、名誉や権力が如何に人を変えてしまうのか、己を見失ってしまうのかを問いかけられているように感じました。
解釈が色々できる興味深い映画だと思います。