YAMAphs

TAR/ターのYAMAphsのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
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2023年5月25日鑑賞。
109シネマズ川崎。
今日いま目の前で起きた出来事のようにも、すべて幻のようにも感じる作品。
猿之助、SNSと炎上、ジェンダーなどホットな話題てんこ盛りの160分はアッと言う間。
作品の最初に主人公の略歴が語られ、それもあってか現実か幻か判断に悩む場面が多く、その謎が不安さを増幅する。
主人公が年齢不明だが、作中2013年ベルリンフィル首席指揮者就任と語られ、じゃあ何歳だったらバーンスタインの弟子でいられる?とか、同時に作品最大の謎クリスタは25歳と判明するけど、先住民族の音楽を研究するためにフィールドワークに5年もターと一緒に出ていたという情報もあり、それはいつ頃でターとクリスタそれぞれ何歳だったのか?とか。
実在する人物の物語のようにも虚構の物語のようにも見える。
あれほど完璧な女性が小娘にほの字になって浮き足立ったり、自分の支持者に「模倣に栄光はない」と厳しく言う割に、スーツやCDジャケットのデザインなど先達の模倣に意外と熱心だったり、はたして同一人物なのかと思うような場面も。
主人公同様、観客も罠に嵌められ騙されていくような体験。
雑な言い方をすれば映画の持つマジックを存分に使った力作。
この作品を前に「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」ってそんなに面白かったか?などと思う次第。
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