おたしん

TAR/ターのおたしんのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.3
勝手に実在する人物の話かと思ってた。
絶妙に実話っぽくない?
設定等も全然有り得そうでどんな人か気になって調べたら全然フィクションだった。笑
モデルはいるっぽいけど。

すごい指揮者の話ってのは分かってたけどストーリーはほとんど知らずに見ました。
序盤からカリスマ性の溢れる映像。
知識もないのでただただすごい人なんだなって感じた。
そしてリディア・ターの生活が見えてくる。

最初の印象通り才能人。
これぞプロって感じ。
努力も惜しまないんだろうけど。

でもだんだん人間的に欠けている部分も見えてくる。

ナルシストというか傲慢というか。
生徒をみんなの前で論破するやり方が正しいとは思わないけどまあポジション上それぐらいの意識でいるのも間違ってないって思ったけど。

セクハラ的な話もあった。
女の子に優しいとか気に入った子に贔屓するとか。
描写はないけどやることやってんだろうね。
でもこれはレズビアンとか関係なく上司がとか偉い立場の人間にありがちでそこら中で起きてるでしょ。
今回はレズビアンってのもあって印象深い感じもするけどこれ別に珍しくもない。
だから個人的にはあんまり何も思わなかった。
妻がいるのに遊びまくりなとこも若い子に利用されて捨てられるのもマジおっさんみたいだよね。

頂点にまで登り詰めて自信満々のやりすぎ上司。
だいぶ男勝りな性格だったり自分強すぎなところもあるけど別にそういう人もいるよなぐらいだった。
パパとしての振る舞いは悪くはなかったんじゃない?
娘が大好きそうだったし。
いじめっ子に声かけたのは賛否両論だろうけど気持ちは分かります。

とまあ悪い部分も見えてくるもののそんなヤバイ奴ではないんじゃないかと。
でもクリスタの件はいきすぎでしたね。
仕事に私情を挟むのは一旦置いといてシンプルに他人に迷惑かけてるのは良くない。
メール無視しろとかキャリア断絶させたりとか娘のいじめっ子と一緒やん。
こういうのは女っぽいしガキっぽくて嫌だったわ。

強い女性みたいな感じで何があってもへっちゃら系に見えてたけどさすがにこんなに叩かれちゃ変わってくるよな。
この転落ぶりがすごかった。

クリスタの自殺も流されたデマもどうにかなるって思ってたんだろう。
そこから妻にも見放され楽団員からの評判も聞いてしまったりもう何もかもヤバイと。
ステージに突入してぶち壊したシーンはだいぶインパクト強かった。

イカれたってなるよな。
圧倒的な地位を手に入れたのに仕事に困る状態へ。
前半との差がデカすぎる。

急にアジアで新たな道を歩んでくの驚きすぎてついていけなかったけど結局すごいよね。
別の映画かと思うぐらいに変わっててビックリ。
ラストも結構謎だったけど転落後も自分で道切り開いて新しい生き方を見つけてるんだからやっぱりすごい人なんだなって思った。


ケイト様かっこよすぎ!
今までもかっこいいキャラクターたくさんあったけど断トツかも!
これは女にモテるのも納得。
あと改めて演技うますぎ。
実在する人物を自分に降ろして完全に似せてるんだと思ってたけどフィクションだったわ。
160分という長編でテンポよく展開してくわけでもなくってなると演技力がなかったら見終えることも難しいからな。
お見事でした!
おたしん

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