通りすがりのアランスミシー

TAR/ターの通りすがりのアランスミシーのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.1
現実ではとても珍しい、女性の大物指揮者を主人公にしたシリアスなドラマ作品。
主人公が女性ながら指揮者で、同性愛者でポリコレ一直線な内容かと思いきや中身は普遍的な狂気と幻想の物語だった。
クラシック音楽界を舞台にしているため、劇中で大量に音楽が流れるが演奏の場面以外はBGM控えめで禁欲的な作り。
主人公がバーンスタインの弟子設定で、(バーンスタインの得意レパートリーだったので)マーラーがよくつかわれている。
マーラーの5番以降の交響曲は分裂気質があるので、内容にマッチしている。
ケート・ブランシェットは美味しい役をもらったと思う。
俳優がブレークするのに必要なものは企画と役柄に恵まれることだと思っている。
トッド・フィールドはアテ書きしたらしいが、彼女のような大物ではなく、無名の俳優が演じていたらどうなっていたか気になる。その俳優はブレイクしたんじゃないだろうか